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人気のない分娩室前の廊下に時計の針が進む
音だけが響く。もう何時間こうしている
だろう。祥子を病院に連れてきたのは宵の口
だった。美奈子が壁の時計を見上げると既に
日付が変わっていた。その時、産声が
聞こえてきた。
看護師が廊下に現れた。
「吉川さん、産まれましたよ。男の子です。」
「祥子は?」
「お母さんも無事ですよ。お会いに
なりますか。」
「いいえ、疲れているでしょうから、明日
また来ます。」
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