第1章 陣痛

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突き刺さる。彼の真意はわからない。その 後はひとことも子どものことを尋ねなかった。 祥子の意識からも抜けがちだったが、彼女の 子どもは耀達の子なのだ。 祥子は耀達との結婚や子どもの認知を望んで はいなかった。自分ひとりの子として育てる つもりだった。なのに、耀達にとって一生 会わないかもしれない自分の子どもが 産まれる過程を彼に見せてきたのは、残酷な 仕打ちだったのではないだろうか。今に なって祥子にはそう思われてならないので あった。
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