第1章 陣痛

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耀達に何も望まないのであれば、子どもの 存在を知らせずに彼との関係も断ち切って しまうべきではなかったのか。そうすれば 耀達が美奈子と別れることもなかったに 違いない。美奈子が耀達の代理人として 祥子の目の前に現れることもなかっただろう。 自分が僧侶の修行について何も知らぬまま、 ただ美奈子を避けようと目論んだことが悉く 裏目に出た。そして、それが最悪の事態を 呼んでしまった。耀達に知らせたことで彼 から美奈子を奪い、美奈子に知らせたことで 彼女から耀達を奪った。初めから奪い取る
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