第1章 陣痛

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ことも。 彼女の心は氷のような冷たさで満たされた。 寂しさがこみ上げ涙が流れた。わたしは これほどまでに本多くんに心理的に頼って いた。ならばこそ、これ以上は近づいては いけない。本多くんの心を乱してはいけない。 だけど、せめてもう一度会いたい。 祥子は鈍い痛みを感じた。どこか遠くで 生じているような微かな痛みだった。 美奈子は隠れ家で一人坐っていた。和蝋燭の 炎が風に揺れ、影も揺れる。彼女はずっと
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