第1章 陣痛

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心の中で消災呪を唱えていた。 祥子と耀達の間に出来た子など産まれて 来なければいい。親友だと思っていた祥子が 自分の男の子を身籠った。美奈子は行動が 制限される修行僧の耀達に代わって祥子の 健診に付き添い、必要なものを準備して 生活を支えてきた。 もうすぐ産み月に入る。美奈子の役割は 祥子の出産で終わる。耀達が暫暇すれば彼に バトンを返せるのだ。もう祥子と関らずに 済む。だが、美奈子の心は叫んでいる。 産まれて来なければいい、祥子と耀達の子 など、と。
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