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「オカダ査察官! 戦えて嬉しいぞ!」
ブエルムは長髪を振り乱し、両腕のチェーンを耳障りに鳴らす。迂闊にも手にした日本刀、同田貫を弾き飛ばされてしまった。手がジンジンと痺れる。
「俺は全く嬉しくはないぞ! ハンデをつけてくれ!」
バランスを崩した僕はブエルムに足払いされて、その場に倒れた。ヤバい!
「うォおォお!」
頭上からの重いチェーン攻撃が加わる。横方向に転がって、すんでの所で避けるが地面に深々と穴が開いた。
「その馬鹿力を平和のためにでも使えってんだ!」
軽口をたたいている隙に死角から近寄ったスケさんが、数メートルを跳躍してブエルムに飛び掛かった。爪を立てて首筋に噛み付く。さすがは元ジャガーのアニマロイド。黒髪の美少女とは思えないワイルドな攻撃方法だ。
「うがぁあ! ジャマすんな!」
ブエルムが血を吸う蚊でも引っ叩くようにスケさんに手を伸ばしたが、とっくに彼女は空中で体を捻って逃げた後だ。
「ブエルム、貴様には望んでも得られない物がある」
「何だ? 今更愛情なんて言われても傷つかないぜ」
「それはチームワークだ」
スケさんは瞬発力を発揮して、ブエルムの右腕に長く垂らされたチェーンを掴むと、逆関節方向に転がり、一本背負いの要領でグイと引っ張った。
「ぐぅ! 放せ! 力負けするとでも思ってるのか!」
ブエルムはスケさんを引きずり倒すと、背中に回していたセミオートショットガンを左手で構える。
銃声が響き、空薬莢が地面に転がり勝負の行方を占った。
僕のM4カービンから放たれた高速の5.56mm弾が、ブエルムの左腕に巻かれたチェーンの束を貫通して反対側に抜けた。ショットガンはショックで大地に振り落とされたのだ。
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