理想と現実の差

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玄関に入るなり土下座した琢磨。 「俺が悪かった。ごめん、ごめんなさい。1週間連絡しないでごめんなさいその前に浮気してごめんなさい。」 それを腕組みしながら見下ろすあたし。 琢磨が浮気してケンカして、転がり込んできた一人暮らしのあたしの部屋から出ていったのは1週間前だった。 てかごめんじゃ済まないんだけど。浮気した上逆ギレして出ていって携帯繋がらないし連絡つかないし来ないしじゃあコレもう終わりだなって思うよね?普通思うよね? 大体、琢磨って頼りないし立場悪くなるとすぐ誤魔化すししかもそれが誤魔化せてないし。転がり込んできた時も家賃半分になってラッキーとか思ってたら次の日に仕事やめちゃうし結構てかだいぶ不良物件だよね?悪いけど友達からも「やめとけ」って勧められるくらい不良物件だよ。てかなんでスーツで土下座!! 「その前のその前に押しかけて住み着いちゃってごめんなさい。仕事辞めちゃってごめんなさい。」 そんなの今更なんだよ!! 住むなら住むでいいけど最低限決めたルールはお互い守ろうよ。お風呂覗かないでよ。 あと仕事は仕方ないけどすぐに始めたバイト先で若い子に言い寄られてコロッとやられてんじゃないよ馬鹿かっつーの! 「あとカッコ悪くてごめんなさい。頼りなくてごめんなさい。いつもジャージでごめんなさい。」 何も言わないあたしに琢磨はチラリと顔をあげた。その顔はこの世の終わりとでも言うような辛そうな顔だった。 この世の終わりはこっちだっつーの! もうあたし三十路目前なんだっつーの! なのになんで今アンタなんかと付き合ってんだっつーの! 更に何も言わないあたしにこの世の終わりの琢磨は更に更に泣きそうになって言った。 「俺が悪かったけど……でも、晴ちゃんもちょっとは悪いよね?」 …………は?
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