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眼光鋭く琢磨を見ると、琢磨はあわてて頭を下げた。
「いやあの、俺が悪い!俺が全面的に悪い!けど晴ちゃんも、晴ちゃんだって悪いよね?」
怒り心頭火でも噴きそうなあたしに油を注ぐように、琢磨はゴニョゴニョ話し始めた。
「俺が悪いよ。いつまでも就職決まらないし職安と面接以外は家でゲームしてたしダラダラしてたから晴ちゃんがイライラして会社の人と飲んで遅くに帰るようになったんだもんね。」
…知ってたんだ。でもそれくらいいいじゃん。あたしだって琢磨にイライラしたくないから飲んで時間潰してたんだし第一あたしのお金だし。
「何もないとは思ってるけど、でも男の人に送って貰ってるの見ちゃうと俺だって不安になるし悲しくなるし。」
…それも知ってたんだ。でも琢磨の言う通り何もないし話きいてもらってただけだし。
「だからって話しを聞いて貰ってた子とコソコソメールしていい理由にはならないけど…。」
『あたしも琢磨さん好きですよ!』
そんな一文を見ただけで浮気と判断したあたし。もしかして浮気じゃなかったのかも…。でもコソコソ隠してたからいつも寝てる位置に琢磨が居なくて探したらそのメール画面ひらいたままの携帯握ってソファで眠る琢磨を発見したんじゃない。なにげにショックだったっつーの!
琢磨は25あたしは29。
20代の4歳差は精神的に結構キツくてやっぱり年増とは寝たくないのかとか、思っちゃったっつーの!
そんな小さな事が思い出してもすごく悲しくて。
三十路目前、もうダメかもしれない。そう思った時、琢磨が小さく言った。
「でもやっぱり俺晴ちゃんが好きだよ。」
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