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暑い夏の盛りだった。
そして俺は寝ていた。
庭に面した和室の八畳。縁側全てを開け放って、扇風機を全開に回して、氷枕を頭に寝ていた。
疲れていた。
昨日一日、大掃除をしていた。それが堪えていたのだろうかと思う。
大の字になって布団の上でいびきをかいていたが、耳障りな音が聞こえてきて、うっすらと目を開けた。
ぶるるん、、ぶるるん、ぶるるん、と聞こえてくるのはバイクの排気音だ。
蝉の声に割り込むようにして、その音が近づいてくる。
意識が表層に引き戻されていた。
汗をびっしょりかいていた。
呻き声を上げながら起き上がる。枕元のぬるくなった麦茶をあおった。バイクの音はさらに近づいてくる。
縁側は全開だし、建物も少ないこの田舎だ。バイクの音なんか遠くまで聞こえる。
そしてそのエンジン音は俺には慣れ親しんだものだった。
甚平を直して玄関まで出た。エンジン音はすぐそこまで来ていた。
玄関の扉の向こう。直射日光に焼けているアスファルトの上。そこからゆっくりと一台のオートバイが庭へ入ってくるトコロだった。
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