4/8
前へ
/22ページ
次へ
元気な声が響いてきた。 「おぅい!孫太郎、適当なトコに停めとくぞ!!」 「勝手にしろよジジイ!」 「あァ!?また一年の間にデカい口叩くようになったなテメェ!」 そう言いながら、のっしのっしと、ヘルメットを脇にやってきた男が一人。 こちらは老人である。 爺さんである。 かなり痩せ型ではあるが筋肉はある。タッパも俺と同じか、ちょい上か。綺麗に禿げあがった頭、両脇の銀髪も短く刈り揃えて清潔感がある。 そしてあろうことにグラサン。 それが似合っているのが孫からすれば妙に腹立たしい。 そしていい年ぶっこいて愛車のハーレーを乗り回しているこの爺さん―――それは紛れもなく、俺の祖父であった。 そんな爺さんは、俺を見てニヤリと笑い。 「応、一年ぶりだな孫太郎」 「うっせ。こんな昼間っぱらからフライングじゃねーか。夕方になったら迎え火焚いとくつもりだったのに」 「いやあなあ、ワシの愛車が早いトコ走りたいとダダをこねよっての」 ニヤニヤ笑う爺さんをさておいて、「あがれよ」と声をかけて俺は家の中に入った。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加