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元気な声が響いてきた。
「おぅい!孫太郎、適当なトコに停めとくぞ!!」
「勝手にしろよジジイ!」
「あァ!?また一年の間にデカい口叩くようになったなテメェ!」
そう言いながら、のっしのっしと、ヘルメットを脇にやってきた男が一人。
こちらは老人である。
爺さんである。
かなり痩せ型ではあるが筋肉はある。タッパも俺と同じか、ちょい上か。綺麗に禿げあがった頭、両脇の銀髪も短く刈り揃えて清潔感がある。
そしてあろうことにグラサン。
それが似合っているのが孫からすれば妙に腹立たしい。
そしていい年ぶっこいて愛車のハーレーを乗り回しているこの爺さん―――それは紛れもなく、俺の祖父であった。
そんな爺さんは、俺を見てニヤリと笑い。
「応、一年ぶりだな孫太郎」
「うっせ。こんな昼間っぱらからフライングじゃねーか。夕方になったら迎え火焚いとくつもりだったのに」
「いやあなあ、ワシの愛車が早いトコ走りたいとダダをこねよっての」
ニヤニヤ笑う爺さんをさておいて、「あがれよ」と声をかけて俺は家の中に入った。
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