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長い時間、悲しい記憶をたくさん目の当たりにした
恨み、殺し合う光景
大切な命を失い、悲しみにくれる光景
騙され、裏切られる光景
天界中に泣き声が響くと、光が消えて世界全てが飲み込まれていく
凄まじい光景に吐き気がした
何度場面が切り替わり、対象が入れ替わったか分からない
目を反らすことも出来ずに進んでいく記憶
混沌が過ぎた後の世界に佇むのはいつか夢見た金髪の青年だった
背を向けた状態で顔はわからない
花々が咲き誇る美しい場所で動物たちが彼に寄り添う
伝わって来るのは彼の感情
寂しさと悲しさ、多くのものを失った虚無感
彼の人生全ての記憶を見れたなら、この感情を理解することが出来るのだろうか
ふいに、振り向いた彼と目が合った
振り向くが、彼の目線の先には私しかいない
偶然…?見えてるはずは…
美しい顔を崩し、不敵に笑う彼に背筋が凍った
「過ちは何度も繰り返される」
その言葉の意味を考える余裕もなく、彼に突き飛ばされた
今、触った!?
体が傾き、背中から落ちる
あったはずの地面はなく、真っ暗闇の中を急降下していく
怖い…
たくさんの記憶を見てきた今の私に暗闇は十分すぎるほどの恐怖を与え、意識が遠のいていった
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