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父は私を抱きしめ、ポンポンと優しく頭を叩く。
いつまで経っても、父から見れば私は小さい子供なのだ。
「こんな奇跡の時間をくれるなんて……神様は本当にいるのかもな。でも、皆にはこの事を言うなよ? 頭がおかしい奴だと思われるぞ」
そう言って笑顔を見せる父は、再びベッドへと体を寝かした。
「そろそろ時間の様だな。体に力が入らなくなってきた」
「父さん!?」
父の体がみるみる小さくなっていく。
「真司……兄弟仲良くしろよ……それと……母さんを宜しくな。……あいつはお前と一緒で……寂しがり屋で泣き虫だから……俺の所に来るまでは……皆で……母さんを……」
「やだよ……死なないでくれよ……」
こうして父は元の症状に戻り、数時間後に息を引き取った。
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