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『チェ、チェシャ猫?』
「何だい、アリス」
蔓から逃げながら悠々と返事をするチェシャ猫は凄いと思う。
『どうして、あの花は私を殺そうとするの?』
その言葉に反応したのはチェシャ猫ではなく、襲って来た花達だった。
ピタッと音が聞こえる様な速さで蔓が一斉に止まる。
その動きに合わせて、チェシャ猫も止まった。
「私達は…アリスを殺そうなんてしていないわ!」
中の一つの花が叫ぶ。
『なら、どうして私達を襲うの?!』
「だって、だって…」
「アリスは白ウサギを追うのでしょう?」
違う花が問うた。
「そうだよ、アリスは白ウサギを追わなくちゃいけないからね」
チェシャ猫が口を挟む。
「そうしたらまた、アリスは居なくなってしまうわ!」
「私達はアリスを元の世界に戻したくないのよ!」
『ッ…だけど、私は帰りたいの!白ウサギを見つけて帰れるなら、私は白ウサギを追うわ』
その言葉に別の花が口を開いた。
「アリス、あなたが望むのなら…私は諦めます」
「?!何を言うの、白薔薇」
「赤薔薇、私の願いはアリスの幸せ」
赤薔薇と白薔薇は対立した。
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