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「あなたはアリスを帰すと言うのね?!」
「アリスの幸せが私の幸せ」
その言葉に、赤薔薇側と白薔薇側に花達は分かれた。
「白薔薇…私達の邪魔をしないで!」
対立する意思を見せた白薔薇に、赤薔薇は蔓をビュッと振り上げる。
それに続いて白薔薇、それに他の花達も攻撃に入った。
「アリス、私達が止めます。今の内に行きなさい」
『だけど…』
「大丈夫、私達は死にません。ただまた種から生まれ変わるだけ。さあ…早くこの森の奥に逃げるのです」
もう一本蔓を伸ばした白薔薇は森の方を指した。
「そこまで私達の蔓は追えません、さあ行くのです!」
力強い声にチェシャ猫は走り出した。アリスはそれに従うしかない。
『白薔薇さん、有難う!』
出せる限りの声で叫んだアリスに、白薔薇が微笑んだ気がした。
アリスが行くのを見届けてから、本格的に花達は争い出す。
「アリス…どうぞ、ご無事で」
チェシャ猫とアリスが森の奥まで入った頃、先程花があった場所は血溜まりの様に花びらが散乱していた。
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