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深く森の奥に入った頃、辺りはシンとしていた。
『チェシャ猫…どうして赤薔薇はあんなに怒ってたの?』
「怒ってはいないよ、寂しかっただけさ」
『寂しい?』
「アリスが帰る道を選んだからね」
『赤薔薇は"また"って言ったわ。私はここに来たのは初めてじゃないの?』
するとチェシャ猫は少し黙り、ゆっくりと口を開いた。
ニンマリ顔のままだが、少し寂しそうに。
「…それは女王に聞かないといけないよ、僕は答えられないからね」
『女王様って?』
「白の女王と赤の女王がこの国には居るんだよ」
そう答えたチェシャ猫の顔は余り面白くなさそうだ。
多分彼はどちらの女王も嫌いなのだろう。
『なら私は自分でその答えを見つけなきゃいけないのね』
「そうだね、アリス」
『1つ分かった事があるわ』
そう言えばチェシャ猫は?と首を傾ける。
『赤薔薇は情熱的だけど、ヒステリックだって事』
アリスがそう言うと、満足そうにチェシャ猫はニンマリした。
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