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飛び降りた男の背丈は思ったより高くて、自然と見上げる形になる。
「さあアリス、白ウサギを追い掛けよう」
ニィと更に笑う顔を見て笑ってない時が無い事に気が付いた。
『……アナタは白ウサギがドコに居るか知ってるの?』
行くあてが無い有栖は白ウサギを探せば帰れるかも、と考えていた。
「どっちに向かったかなら知ってるよ、アリス」
チェシャ猫はそう答える。
有栖は少し考えた後、口を開いた。
『アナタはそれを、私に教えてくれるの?』
「アリスが望むなら、教えるよ」
やはりそうだ。
この男は怪しいけれど、私に何か危害を加える気はない。
現に私1人なんだから、危害を加えるなら今加えてる。
そう思ったアリスは
『じゃあ…チェシャ猫?私を連れて行って欲しいの』
と言った。
チェシャ猫はにんまりと笑うと、1つ頷いて先を歩き出す。
有栖はそれについて行った。
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