願い事ひとつ

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「残念だったな」 声をかけても久保は返事もしない 絶対に勝ち取ると言っていたブーケトスは敢え無く惨敗 一瞬、手を掠めたりしたもんだから 余計に凹んでいるのだ 「そろそろ機嫌なおせよ」 「……」 「そんなに欲しかったのか?」 「だって… …次の花嫁になれるんですよ? 欲しいに決まってるじゃないですか」 久保は、いつものようにふてくされながら俺に意見する 「花嫁って… 旦那より彼氏からだろ?」 からかうように言うと 久保は少し寂しそうな顔をし 俺の顔を覗き込んだ 「河辺さん、彼氏になってくれます?」 少し前まで、強気で俺を貰うとか言ってたくせに 今は瞳を揺らし心細そうに俺を見ている 「俺を見て好きだって言ってくれる?」 久保は、信じられないと言わんばかりに大きく目と口を開け 馬鹿面をしている 「ふぅ~ん 俺の事からかってたのか…」 「え?!あ!?え??」 久保は焦った顔をし俺の腕をガシッと掴んだ 「好きです!!河辺さんが好きです!!」 それは叫びに近い大きな声で 言い切った久保はヘナヘナと力尽き 地面に座り込んだ
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