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Aは足を組んで少し仰け反り、ニヤニヤとした表情のまま見下ろすように私の目を見つめた。
「其れは…常識的に考えて、ということかな?今まで私と普遍的な会話を普遍的に行うことが出来ていたことが、君にその…『前提』というやつを植え付けたのかな?」
「私が君に通じる言葉で話すことが出来る、君と私が共通の言語を介して会話を行うことが出来るという前提をさ。」
Aは大きな溜息を吐き、ニヤニヤとした表情から一変、呆れ返ったような、酷くつまらない映画を見せられた後のような表情で再び椅子に深く腰掛けた。
ギィという枯木の音が、静かな部屋の中に木霊する。
「『常識に縛られるな』とは言わないさ。常識は読んで字の如く『常に識っておくべき』事象だと私は思っている。しかし、まあ…」
Aはそこまで言うと言葉を切り、目を細めて私を真っ直ぐに見つめた。
「君は存外、つまらないね。」
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