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舌打ちをし、夜会が開かれている会場を睨み付け、ギルバードは抱き締める力が込める。
まったく忌々しいことだ。
不参加の申し出を勝手に参加にし、挙げ句の果てには未婚の女性ばかり紹介され、何故かダンスを踊る羽目になった。
この夜会のどこに魔王討伐部隊を労う要素があるものなのか、甚だ疑問しかない。
どう考えても魔王討伐部隊に対する縁談の場であり、様々な地位の者が特に勇者であるギルバードの肩書きを欲していることがわかり、彼の中には遺憾な思いしかなかった。
隙を見て抜け出したことに気付かれたか、はたまた別な理由かはわからないが――。
「邪魔だな。」
ようやくシャルロットの元を訪ねることが出来、共に過ごす時間の尊さを改めて実感した以上、最早ギルバードには離別する気は毛頭なく、このまま一緒にいる予定だ。
しかし、シャルロットは気にするのが明白だ。
この現状の理由に気付いた時、シャルロットは離別の申し出をし、ギルバードの元を離れるだろう、とギルバードは確信していた。
だからこそ――。
「しつこいな。仕方ない、か……シャル、速度を上げるぞ。舌噛むから黙ってろよ。」
ギルバードはシャルロットを連れ、城から逃亡した。
そして、現在追っ手に追われている最中である。
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