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お互いに両親を亡くした。
あの日、魔物の襲撃を受けた時、子供たちの多くはこの森の中で遊んでおり、ギルバードとシャルロットの二人も例外なく遊んでいたのだ。
共に別な友人同士で遊んでいたが、二人は友人と逸れ、偶然この館の前で出会った。
そして、その時、襲撃されたのだ。
「懐かしいわね……でも、話を逸らさないで。」
「ここで初めて出会った時、俺は確信した。」
一体ギルはなにを言っているのか。
「シャルロット、俺と共に生きてくれないか。」
その瞬間、シャルロットの中で時が止まった。
「2年前、勇者となり、1年前には魔王討伐部隊の一員となって日々魔物と戦う中、ずっと考えていた。俺の隣にシャルがいない訳を。」
ギルバードはシャルロットの方を見ず、館を見つめている。
「魔物との戦いに連れて行きたいとは思わなかったが、ふとした瞬間にお前がいないことに気付いた時の虚しさだけはいつまでも慣れなかったんだ。その内に気付いた。俺の隣にお前がいないと嫌だ、と……旅立つ前、泣くのを我慢して言ってくれた「いってらっしゃい」という言葉が耳を離れなかった。早くシャルにおかえりと言って笑って欲しかった。だが、お前は俺の側を離れ、いまだに言わないだろう?俺の婚約話を無駄に心配するくせに一番欲しい言葉を言わないお前に腹が立ったんだ。」
そして、ギルバードはシャルロットを見つめる。
「好きだ。俺の側にいて欲しい。そして、おかえり、と言ってくれないか?シャル。」
信じられない気持ちでいっぱいだが、真剣な眼差しのギルバードに嘘はないだろう。
それならば、私は――。
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