おかえり

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―― ―――― 凱旋祭とは異なるものの、この日も華やかな雰囲気が城下町全体を包み込んでいた。 城内で行われる結婚式を一目見ようと各地から民が訪れ、様々な領主を勤める貴族も王都に集合するため、華やかな雰囲気だけではなく、騒がしい雰囲気もあるものの、皆が笑みを浮かべているため、どこか幸せな雰囲気も存在している。 そう、今日は待ちに待った結婚式なのだ。 「シャル、綺麗よ!!綺麗!!」 手を叩き、うっすら涙を目尻に浮かべるサラを前にシャルは照れくさそうに苦笑する。 「サラの誉め言葉はもう何度目かしら?」 「いいじゃない。どうせあの方にも言われているから飽きたかもしれないけど、本当に綺麗なんだから!!」 拳を握って豪語するサラを前にシャルは再び笑みを浮かべ、鏡に写る自身を見る。 まさか自分が着る日が訪れるとは、と感慨深い気持ちが込み上げてくる。 ――コンコンッ とノックと共に入室したのは白いタキシードを纏うギルバードだった。 ニヤニヤと笑うサラはそのまま退室したが、見つめ合う二人は気付かない。 「……綺麗だ。シャル。」 「……貴方もね。」 見つめ合う二人の影が重なるのも必然。 「シャル、俺と共にこれからも生きてくれ……ただいま、シャルロット。」 シャルはギルバードと同じ、幸せそうな笑みを浮かべる。 「私も貴方と一緒に生きて行きたい……おかえりなさい、ギルバード。」 勇者とその幼馴染みとの恋物語は、無事に結ばれ、二人は幸せに暮らしたのである。 End.
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