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私が暮らすアルベート国では数十年前から魔王軍による一方的な侵略を受け、その被害は凄惨なものであった。
始まりは、ある日突然魔物が小さな町に現れて、村人全員を惨殺するという事件が発生したことからだった。
町の外で遊んでいた、幸いにも逃げ延びた子供たちが隣町に助けを乞い、それはすぐにアルベート国の首都、オリオールに知らせが届いた。
魔物討伐部隊が編成され、戦いの用意をしている最中、その数日後には魔物軍による侵略が突如始まったのだ。
結果はすぐに明らかとなった。
人間の敗北である。
兵士だけでなく、魔力を持つ魔導士も部隊の中に組み込まれていたが、魔物の数が尋常ではない程に多く、すべての町を守ることが出来なかったのだ。
いくつかの町は魔物に侵略され、村人の多くは惨殺された。
しかし、魔物たちは知能があった。
その知能を生かして村人を残し、奴隷として自分たちのために働かせたのだ。
例えば、持ち帰り、餌として、魔王城建設のための要員として、魔物同士の遊び相手や奴隷として、彼等は支配されたのだ。
そんな甚大な被害が刻一刻と日々広がる中、人間側が決して『勝利』を諦めることがなかったことが、この魔王軍との長き戦いを制したのかもしれない。
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