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ベッドに腰掛け、一日中していたパールのネックレスを弄る。
華やかな夜会の音楽が漏れ聞こえる中、考えるのはクリスティーナ様のこと。
勇者とアルベール王国第一王女クリスティーナの婚姻は魔王討伐の知らせが届いた瞬間に陛下が決定された。
勇者への 褒賞だと誰もが思っているが、実はそうではない。
実は、アルベール王国には現在王位継承権を持つ子供が第一王女のクリスティーナしかいない。
男子は生まれず、次女と三女は既に他国に嫁ぎ、時期女王陛下としてクリスティーナは統治していくのだが、彼女は男として生まれなかったのを悔やまれる程に優秀で、国民の支持が最も得られている王族なのだ。
並大抵の男ではクリスティーナの隣に立てず、また、現在王族と婚姻関係を締結出来るだけの爵位を持つ貴族がおらず、クリスティーナの婚姻は非常にデリケートな問題だった。
そこに登場したのが、勇者による魔王討伐の事実。
その褒賞という名目で陛下はクリスティーナの婚姻問題を解決するつもりなのだ。
魔王を倒した勇者に対し、異を唱える貴族はいない。
寝る支度を整え、床に入ったものの、何故か寝付けない。
そっと起き上がり、ストールを羽織り、窓際に立つと窓を開ければ、優しい風が吹き込み、ふわりとストールが揺れる。
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