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しかし、ギルバードは無表情でシャルを見つめる。
「……ふん、嘘はいらない。シャルロット、お前は俺の知るシャルロットじゃない。俺たちはもう違う。」
「ギル?なにを言っているの?」
「しらばっくれるつもりかっ!?」
ギルバードはシャルロットの返事を聞くや激昂した。
わかっていた。
2年という歳月がギルバードとシャルロットの運命を変え、自分の中でどんな変化が生まれたのかを、ギルバードは理解していた。
しかし、シャルロットにとっては違うこともまた、ギルバードは理解していたのだ。
だからこそ。
だからこそ、シャルロットの裏切りをギルバードは許せない気持ちになった。
「凱旋祭に何故来なかった?」
「……何故来ていないと思うの?」
「俺が!!……俺がシャルを見付けられないとでも言うつもりか?」
シャルは首を振り、ため息を吐いた。
「仕事よ。ただでさえ人手不足だったのよ。私が抜けるわけにはいかないわ。」
そんな正論は聞きたくない。
奥歯を噛み締め、ギルバードはシャルロットを睨む。
そうじゃない。
そうじゃなかった。
集まる群衆の中、必死に探した。
でも、シャルロットの姿がどこにもなかったあの虚しさはいまだに消えない。
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