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高三の夏休み最初の日。
瑞樹の家族が出かけた隙を狙って、自分から仕掛けた。
何度もお互いの身体は触った事がある。でも最後までいくのは大学になったらと言う約束だった。
あと半年か、長いのか?短いのか?そう言って瑞樹は良く笑っていた。
「大学生になったら、二人で一緒に住もう」
瑞樹はそう約束してくれた。
それだけで充分。
「奏太、大丈夫?痛い?痛いよな、どうしよう」
「大丈夫、きて。どうしても瑞樹が欲しいから」
瑞樹でいっぱいにして、優しくしなくて良いから。身体に刻んで、これが最初で最後だから。
「は、入った。すご、やば奏太。俺、お前の事大切にするから。愛してる」
「ありがとう瑞樹、俺を好きになってくれて」
ごめんね瑞樹。これで最最、さよなら瑞樹。もう俺の我儘を聞くこともないから。
瑞樹は、俺の想いに応えてくれた。
愛してると言ってくれた。それで十分、これ以上は望まない。
果てて眠ってしまった瑞樹をじっと見詰める。手を伸ばしてそっと瑞樹の携帯を手にした。そして瑞樹の携帯のロックを解除する。
お互いの誕生日が暗証番号。隠し事は無いから、そうしてと先週頼んだ。いいよと笑ってくれた瑞樹。ごめんね嘘ついて。俺は隠し事だらけだ。
メモリーを辿って、すべてのメールのやり取りや履歴を削除する。写真も一枚残らず。これで良い。
眠っている瑞樹の髪に触れるか触れないかのキスをする。そして音を立てないように静かに瑞樹の部屋を出る。これで最後。ごめんね瑞樹。
目が覚めたらきっと怒るかな。心配するかな。そして..…俺の事、嫌いになるかな。
でも、嫌ってくれた方が良い。
ばいばい、瑞樹。
俺の最初で最後の恋人。
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