出会い

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   「お前さ、自分から壁作って避けてたら友達って出来ないって知ってる?」  高一の春、馴染めないクラス。いきなり馴れ馴れしく話しかけてきた。誰だこいつ?  「別に友達が欲しいと思った事なんて無いから」  「俺、瑞樹。木村瑞樹、よろしくな」  たった今、友達はいらないと言ったのに、聞いていなかったのか。何故よろしくと俺は言われたんだ。  「名前って、おがみ?だっけ?」  「おのうえ、おのうえ そうた」  「じゃあ、よろしくな。奏太」  綺麗な笑顔で瑞樹は笑った。それからと言うもの、やたらと話しかけてくる。  「奏太!あのさ、自動ドアの前をダッシュで横切ったらさあ、ちゃんとドア開いた!一瞬だぞ。すごくね?日本の技術力」  「当然だろ」  そう答えると、あははと、笑う。何がすごいのかわからなかったけれど、瑞樹はいつも楽しそうだった。    「奏太、帰りさあカラオケ行こうぜ」  「俺はパス、歌うの嫌いだし」  「良いじゃん、俺1人カラオケとかヤダ。奏太、聞いててよ」  ちょっと強引で、俺はいつも振り回されて。気がついたら惹かれてた。俺の日々は瑞樹でいっぱいになっていた。  瑞樹さえいればいい、そう思うようになっていた。  「奏太さ、好きな子とかいねえの?」  「え?」  並んであるく帰り道で突然聞かれて言葉に詰まる。俺は瑞樹が好き。聞かれてて答えられない答えが、言えない思いが頭の中をぐるぐると回る。  「二組の真田さん分かる?お前と付き合いたいって。お前の影のあるところが良いんだってさ」  「俺は(瑞樹が好きだから)無理」  「お前、その気になりゃ取っ替え引っ替えじゃねえの?綺麗な顔してんだし。誰に告白しても振られるなんて事ないんじゃね?」  瑞樹は俺より背が少し低い。声は俺より高い。日に焼けていて、虫歯の無い真っ白な歯で大きな口を開けて笑う。  物理が得意なのに、何故か馬鹿っぽい。足が速い。逃げ足が速いのだと言う。  「誰も断らないのか?じゃあ、俺が瑞樹の事が好きだと言ったらどうする。断らないのか?お前も」
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