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【奏太編】 別れ
「ねえ、本当に良いの?俺、待つって言ったろ。大切にしたいんだ、奏太の事」
「違うよ、俺が待てないの」
「大学受かったらって、二人で決めた事じゃん」
「ごめんね瑞樹。でも、どうしても今日じゃなきゃ駄目なんだ」
そう言うと、少し困った顔をした瑞樹が、優しくキスをくれる。
ああ、瑞樹とのキスは気持ち良い。浮遊しているような気分。
「んふっ、ん」
自分の耳に戻ってきた、自分自身の声に煽られて肌か粟立つ。
絡んだ舌から銀色の糸がひく。
何度も角度を変えてキスをする。酸欠でくらくらとしてくる。
「瑞樹、好き。本当に好き」
声が震えているのが自分でも分かる。
「奏太、どうしたの?何だか泣きそうな顔なんだけど。怖い?怖かったら止めよう」
「違うよ、幸せだなって。俺の最初は全部瑞樹だから」
「俺も。これからもずっと一緒な。やばい、ちゃんと出来んのかな」
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