願っていた

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戻りたい… あの場所へ あの人と出会う前に… あの日、あの時間より前に… 戻りたい 私にとって この世界は 息が詰まる 胸も心も、脳でさえ 押しつぶされそうな感覚 もっと、 小さな生き物であったなら 今より自然に、 楽に生きていけたのだろうか それとも、 動けない生き物であったなら 覚悟を決めて、 その一生を終えることができたのだろうか 生きてゆく姿を変えることは もう できない 私に残されているのは 泡となることだけ 泡となり、母なる海へと帰ることが出来るだけ だって…愛した人は 消えてしまった 留まる理由なんて もう ないの 「おかえり…」 「ただいま…お母様…」 fin
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