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「……戻ってくるんだろう?」
不安になる。
思わず、弱気な口調になってしまった。
──────若人さん、会社辞めたりしないですよね?
そう言った魔窟の気持ちが、今なら良く分かる。
「戻ります、必ず」
魔窟の笑顔を見て思う。
俺は、なんて嫌な奴だったのだろうか。
今なら、そう思える。
「じゃあ、待ってるから。しっかり休めよ?」
ホッとして、頬が緩む。
それに自分でも気が付いて、照れ臭くなって、「遅刻するから!」と俺は部屋から急いで飛び出した。
その直前、後ろで魔窟が「あ、若人さん……!」と言っていたような気もするが、気の所為だと思って俺は走って、歩いて、走って、歩いてを繰り返し、駅に向かった。
駅に着くなり出発間近のベルが鳴り、なんとか飛び乗って、ホッと息を吐く。
そして……
「これ、宗介のじゃねぇか……」と、自分の首元にボヤいたのだった──────。
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