終わりで始まり

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嫌な記憶なんざ蹴っ飛ばして、魔窟と初めて話した日のことを思い出す。 騒ついた居酒屋で「俺と御薬袋さん、特殊な苗字同士、気が合うかもしれませんね!」なんて笑顔で言われて、戸惑った、あの夜。 苦手だなんて思いながらも、いつの間にか打ち解けていた、あの日々。 良い時も悪い時も、いつも魔窟が居た。 「忘れて良いんですよ?」 大丈夫、と何度も震える背中を優しく摩られる。 まるで、憑きものが取れていくような感覚だった。 俺を繋ぎ止めていた重い鎖は、もう存在しない。 ここを0としよう。 そう思った──────。
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