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ふとした瞬間に思い出してしまう。
大なり小なり、誰にでも他人に触れられたくない傷はあるだろう?
誰からも好かれて、何事もそつなく熟して、生活の中に面白みを見出して、いつも生き生きとしている。
そんな人間が稀に世間に混じっているとして、なかなか遭遇す(出会え)るもんじゃ無いと思っていたが、神は酷なことをしやがると思った。
騒ついた居酒屋の席で隣に座った一人の男が、まさか、その類の人間とは誰が予想出来ただろうか?
「俺と御薬袋(みない)さん、特殊な苗字同士、気が合うかもしれませんね!」
そう言って、奴は俺に満面な笑みを向けてきた。偽りの無い、それはそれは純粋で無垢な弾けるような笑顔だった。
まるで接し方が分からない。
俺は死にたいと思った─────。
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