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面接結果は言わずもがな、いつも不採用となっている。
二十四歳、既卒二年目も後半な俺が大学三年次より就活をし始めてから、これまで三年近くで不採用となった企業の数は聞いて驚く無かれ、なんと延べ三百社以上にまで達している。
正社員はもちろんのこと契約・派遣社員、アルバイトですらも断られ続ける日々。
公務員試験も筆記は高確率で通過出来るのだが、やはり面接で撃沈。
就職活動をしていく上で、ごく普通の人ならば十社も受ければ少なくとも一、二社は採用に至るものだ。
俺がいかに社会から必要とされていないのかがよくお分かりだろう。
俺は簡単に入れる冴えない地方国立大卒。東大でなくとも早慶や、旧帝大のどこかに入れていれば、状況がかなり違っていたのかもしれないな。
ふと予備校の看板が目に留まった俺は、己の学歴の低さに改めて失望感を抱く。俺は学業面においても落ちこぼれだったのだ。
駅へ近づくにつれ、人通りもかなり増えて来た。俺のように一人で歩いている者よりは、複数で行動している者の方がずっと多かった。
そんな中、
「経理課長らしいあのデブ禿げの不細工なおっさん、マジうざかったなぁ」
「あんなキモいんが上司になったら最悪よね。絶対セクハラされるよ。あたしらが入るまで、いや次の入社前研修までに辞めるか地方飛ばされて欲しいわ。つーか死ねっ」
「不祥事起してクビになってくれたらマジうけるし」
とあるオフィスビルの出入口から、リクルートスーツ姿の男三人女二人の集団が現れた。
「そういやオレと同じゼミに横山さんってのがおるけど、あいつまだ内定一社も出んから就活続けとるらしいわ。七〇社以上連続で落ちた言うてたし」
「マージで!? ちょっと引くわそれ。そんだけ受けて決まらんとかあり得んだろ。そいつやば過ぎ。どんだけ無能なんよ。おれなんか一社目で即効決まったし」
「やるなあ。オレは一社目最終面接落ちで、二社目で初めて内々定もらった。オレの青学の彼女も三社目で地銀に決まっとったわー」
「彼女おったんかぁいっ!」
会話内容から察するに、おそらく就活をめでたく終えた来春卒業を迎える大学生達なのだろう。彼らは俺の前方を遮るように横に並んで歩き進みやがる。生き生きとした明るい表情で、じつに楽しそうに。男の方は皆、背丈が一八〇センチ近くあった。
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