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そして、上京してから約1年。
僕は天才的なハッカーになったんだ。
どうしてハッカーになったのかって?
それは簡単な話だよ。
やる事も何も決めないで上京してきて、その上こんな人前でしゃべれないような僕に、仕事を与えてくれる人なんていない。
上京してから1ヶ月も過ぎると、貯金もだいぶ少なくなった。
何かしらしないと帰る羽目になる。
そう思った僕は、手当たり次第に
人と顔を合わせなくていい
しゃべらなくていい
家に誰もこない
ネットだけで完結できる
それで、お金も稼げる仕事を探した。
そのときに見つけたのがハッカー。
でも、専門用語で言うと僕はクラッカーだ。
別に、お菓子の話をしてるわけじゃないよ。
簡単に言えば、ハッカーは作る人で、クラッカーは壊す人。
ハッキングって言葉もハッカーがするやつで、クラッカーがするハッキングはクラッキングって呼ばれるんだって。
僕は興味ないけど。
興味ないから、僕は自分のことハッカーって呼ぶし、ハッキングはハッキングって呼ぶよ。
それが普通でしょ?
ま、それで僕はハッカーになるって決めてから独学で勉強した。
すごく楽しかったよ。
初めて勉強が楽しいと思った。
って言っても、ハッカーの勉強はほんとにゲームみたいだからこんな僕でも簡単に出来た。
ネットってすごいよね。
調べれば何でも手に入る。
今は、ハッカーだけが集まる掲示板で色々情報交換してるよ。
これが面白くてね、掲示板にアクセスするにはサイトの創設者が仕掛けたトラップを解除しないといけないんだ。
まさに、本当のハッカーしか入れない掲示板だよ。
僕は根っからの怖がりだから、少しハッキング技術が出来るようになったからって犯罪行為に足を踏み入れることはしなかった。
この掲示板で、大手会社の企業秘密を盗み出した人や、総理大臣に殺人予告のメールを送った人とかにどんなやり方をしたのか色々教えてもらった。
ついでに、どうしたら見つかってしまうのかも教えてもらった。
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