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「カッコいい・・・」
雌ジカのユクは目をキラキラさせた。
「凄くゴツいなあ。でっかいなあ。」
雄ジカのルクも、鼻をヒクヒクさせて巨大なシカに見とれた。
「大シカさん!助かりました!ありがとうございます!!」
「ありがとう!」「ありがとう大きなシカさん!」「どうもありがとう!」「ありがとう!」「ありがとう!」「ありがとう大きなシカさん!」「どうもありがとう!」「ありがとう!」・・・
芝生に倒れていた傷付いたシカ達は、ヨロヨロと起き上がると、口々に巨大なシカに感謝の言葉を投げ掛けてきた。
「どうもどうも!困ったシカがいたら、お互い様だよ!ふふん。」
巨大なシカは、鼻高々ににやけた。
「で、でっかいシカさん。」
「なあに?」
「貴方は何処から来たの?」
「えっ?えーー・・・っと・・・」
巨大シカは、言葉が詰まった。
「ねえ、何処なの?」
「おせえて?でっかいシカさんはどっから来たのー?」
「うーーーーーん・・・忘れた!!」
「えーっ?!忘れたの?!」
シカ達は、異口同音に驚いた。
「マジで忘れたのぉー?」
雌ジカのキャンは、顔を巨大シカの体にすりすりと擦りよせて聞いた。
「うーん、ごめんね。」
ちゅっ。
巨大シカはそっと雌ジカのキャンにキスをした。
雌ジカのキャンは、興奮のあまりよろけて満面の笑みを浮かべてバッタリとへたりこんだ。
「ねえねえ、おいらも巨大なシカさん位には大きなシカになれるよ!
見てみて!あっぷっぷ!!」
雄ジカのボップはそう言うと、息を思いっきり吸い込むと頬っぺたをめいいっぱいぷくっとはらませた。
「ボップやい、なにやってるの?」
「あはは!ボップよお!それででっかくなったって、でっかくなったのはお前さんの鼻の穴をと頬っぺただけだよ!!」
ボップは息を止めるのが苦しくなり、顔を真っ赤にして、産まれたてのシカののようにプルプル震えた。
「ぷはーーーーっ!!無理だー!!」
「当たり前だよ!!風船じゃありまいし。あははは!」
「風船?僕!!あの『シカ風船』大好き!!下に車輪があってコロコロ・・・」
ガン!!
「うっせえ!ボップ!」
ハイテンションのボップに、ルクが後ろ蹴りで突っ込みを入れた。
「おー痛・・・ん?」
むくっ。
ぶちゅっ!
「?!」
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