5人が本棚に入れています
本棚に追加
ラブラブというわけではないが、恋人らしいデートはできた。ほとんどずっと手をつないでいたし。
1番大きな水槽の前でナントカザメと一緒にツーショット写真を撮ってもらったし。ペアストラップも買ったし。
「あー、幸せオーラの花咲かせてる立花君?彼女、もう上がってくるよ。出迎えに行かなくていいのかい?」
「ハッ!?い、行きますっ!わあぁっ!!」
翌日の今日、某出版社にて。今日は彼女と担当の俺と先輩と、副編集長の4人で今後の連載について打ち合わせをするんだ。
彼女が来るようになっているんだけど、もう来たのか。慌てて跳び出したら彼女がちょうどドアを開けた。
「おーびっくり。何をそんなに慌ててるの、立花君?今から打ち合わせでしょ。もしかしてトイレ?」
「ち、違いますよっ!あーすみません、迎えに行きたかったのに」
目を見開くくらいの驚きで、彼女はクスクスと笑う。落ち着いているなぁ。俺が慌てすぎるのか。恥ずかしい。
「立花、始めるぞ。B室に連れて来い」
先輩を連れた副編集長に呼ばれ、俺は無意識に彼女の手をつかんで早足に。うわ、周りからの熱い視線が気になる!
俺と彼女が付き合っているのは結構皆知っている。だからいつも彼女が来ると、打ち合わせが済んだら彼女を女性社員が取り囲むんだ。
けれど、今日は違った。打ち合わせはすぐに終わり、B室を出ようとしたら肩を叩かれた。
「すまん立花、ちょっとSEVENを借りるぞ。そんな顔をするな、大事な仕事の話だ。取って食いやしねぇよ」
部屋の外には編集長。俺がうなずくと副編集長は彼女を連れて、編集長と共にまたB室に入ってドアを閉めた。
そりゃあ、大事な彼女を取って食おうものなら、いくら副編集長でもブン殴る!
気になる。すっごく気になる。でも我慢だ。外で立っていると少し話し声が聞こえてしまうので、自分のデスクに戻る。
神谷さん、今日は白いロゴシャツに裾の短いデニムの上着、ショートパンツにロングブーツ姿。クールなのもよく似合ってる。
最初のコメントを投稿しよう!