6日目、土曜日

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 草履はともかく、甘い系もクール系も似合うとか、さすが俺の神谷さんだ。今度のデートは動物園だから、その次は服を買いに行くのもいいかもしれないな。  なんて昨日水族館で撮った写真を眺めながら考えていると、今度は先輩が肩を叩いた。 「もうすぐ1週間だろ?どこまでいった?作家と編集担当なんだから、そろそろ同棲を考えてやれよ?」 「まだ仕事中っすよ。同棲は……彼女の仕事の邪魔にならなければ今月中にとは考えてますよ」 「同棲すれば仕事も楽になるし、夜な夜な寂しくて涙で枕を濡らすこともねーわな。クククッ」 「先輩、俺を馬鹿にし過ぎっす。ただ…………キス、してないんすよね。告った時以来全然。そんな隙がないというか、雰囲気にならないというか」  ショボンとうつむく俺に、先輩は「そりゃお前の押しが弱い。女ってのは押しに弱い、強引なくらいがいいんだ。押し倒しちまえ」と俺の頭をグリグリ。  7股かけて一気に全員にフラれたあなたに言われたくないです。信用できません。  なんて、仮にも先輩である彼には言えないので深い溜め息を1つ。そういえば神谷さん遅いなぁ。もう30分過ぎたぞ?  気になって様子を見に行くと、ちょうどB室から3人が出てきたところだった。 「――じゃあ、あの子に無理はするなと言っておいてくれ。よろしく」 「はい、ありがとうございます。あっ、立花君?立ち聞きとはイケナイな。心配してくれるのは嬉しい、けど、私はグッドアイデアを閃いたからこれで帰るよ」  そう言って彼女は、俺の頬にチュッと唇を押し付けて去って行った。おいおい、副編集長と編集長の前だぞ。  って見てない!?しかもすでに去りつつあるとか、気が利きすぎている。さすが上役。  頬にキスした後、悪戯っぽくニッと笑い去りながら手を振る姿は、なかなかに格好良い。どことなく歩き方も綺麗でまっすぐで、つい見とれた。  あー、何か今日は色々と空振りだな。彼女と心がすれ違っている気がするのは俺の気のせいか?
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