1日目、月曜日

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「私の作品を楽しんでもらえて嬉しいわ。モチベーションが上がっちゃう。休憩が終わったら次の締め切りまでの分、一気に書けちゃいそう」 「やる気満々なのはいいですけど、根詰めたらだめですよ。恋人として心配になります。あれ?ブラックなんて珍しい。眠いんですか?」 「え?あ、うん、ちょっと眠くて。昨日寝る前に新しい作品を思いついたの。忘れる前にって原案を打ち込んでたら寝不足で……」  そう言ってほのかに茶色いブラックコーヒーをすする神谷さん。隣でソファーに座る彼女の紫の瞳は、焦りの色。  ココアとカフェオレばっかり飲んでいた彼女がブラックを飲むのは俺、初めて見た。 「頑張り屋さんですね。新作、楽しみにしてます」  優しく抱き寄せ「偉い偉い」と漆黒の頭を撫でてやると、ビクッと肩を震わせ「あ、ありがとね」と苦笑。  変なの。どこかよそよそしいというか、緊張してる?それとも、もしかして次の原稿のことで頭がいっぱい?  と、いうか…………左手の薬指に……リング。
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