第1章

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水の重たさを物語るような、底の知れない海。 それは広々とどこまでも果てがなく、水平線も遥か彼方だ。 水は澄んでいるというのに、空の青と鬱蒼とした樹々の緑をそのまま映し込んで混じり合い、結果淀んで見える。そして、その下にある深い世界を暗く覆い隠していた。 それでも水面は陽光を浴びて輝いている。 その中を柔く波立てながら、一艘の船が進む。 「あ!見えてきたー!」 成実の弾んだ声に、瑞樹もまとわりつく潮風にやり過ごしながら、船から前方へと軽く身を乗り出した。 すると、樹々に覆われた一帯が海の中にぽつんと浮かんでいるのが見える。青と緑のコントラストが瑞樹の目にも鮮やかに映った。綺麗だ。 「や~んキレ~!こんなとこ来んの初めて!」 感嘆の声をあげる成実に頷きつつ、瑞樹は船のへりにもたれている鬼塚をさりげなく振り返った。彼は相変わらずの光の無い目で、これから向かう先を見つめていた。 一行が向かうのは周りを海に囲まれた隔絶された孤島、その中にある村落。 彼らが何故このような場所にやってきたかといえば、話は一週間前に遡る。 *
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