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目を開けると街の駅のホーム。日が昇る前だろうか、薄暗く朝のにおいがする。
他の人は居なくて私一人。
………部屋で寝ていたはずなのに。
少しの恐怖感が身体に走った。
「ここじゃまだ電車は来ないよ。」
誰かに似たよく聞きなれた声が聞こえ、安心するはずだがいきなり声をかけられ戸惑った。私よりも髪の長く、数㎝背の高い彼女は私の手を引いて
進んでいく。私はその背中についていくしかできず彼女の顔は見えない。
少し混乱するかとっさに出た言葉。
「電車って!?」
誰とか、ここはどことか。そんなんではなかった。
「電車は電車でしょ。でも、今はあのホームには君が乗る電車は来ない。」
「私、何処行くんですか?」
「それは秘密かな。」
階段を下って先程とは違う反対側のホームへと進んでいく。
その1番ホームには電車が停車しておりプルルルルルっ。と発車するベルがなる。
「君が乗るのはこっち。」
強く背中を押され
「え。」
車内へと前のめりに
倒れていく。
「さあ、行ってきて。
………勝てるといいね。」
音をたててドアが閉まり、電車はゆっくりと前に進んでいった。
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