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晴れ渡る空に、浮かぶ雲が白い。
真っ直ぐに濃い、飛行機雲が空を分ける。
色とりどりの花が、揺れる。
のぼる細い煙が、消えていく。
幼い子どもの声が、はしゃぐ。
嗜める親の声が、短く響く。
目を閉じ、手を合わせ、想う姿を横目に。
磨かれた黒い石の塊たちは、静かに佇む。
「あぁ、ここだ」
駆け足で目の前まで来ると、真新しい花がさしてあった。
おじいちゃんと、おばあちゃんが眠る場所。
重たい木桶と柄杓を置いて、抱えてきた花をさし、水をかけ、線香を立てる。
先に逝ったおじいちゃんを追いかけるように、次の年おばあちゃんも眠った。
同じ場所で眠るのは、きっと幸せな事なんだろう。
仲の良かったふたり。
笑顔の絶えなかったふたり。
ふたりの孫は私、ひとりきり。
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