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おばあちゃんはおじいちゃんの事が大好きだった。
汗をかきながらトウモロコシを茹でているおばあちゃんが、ふふふと笑いながら菜箸を振る。
「昔はね、ハンサムだったのよ、おじいちゃん」
「今でもカッコイイよ」
茹であがったトウモロコシは、粒がキラキラと輝いていた。立ち上る湯気の香りが甘い。そして枝豆も茹でた。汗をいっぱいかきながら。
「昔はね、そんなハンサムなおじいちゃんに好きになってもらいたくて、おばあちゃんダイエットもしたのよ」
「今もかわいいよ、おばあちゃん」
この枝豆は、私も豆もぎを手伝ったやつ。
おばあちゃんはまた、ふふふと笑うと「でもね」と言って、茹であがった枝豆をザルにあけた。
立ち上る湯気の香りが、青いっ!
「おじいちゃんの、服のセンスだけは納得いかなかったなぁ」
「選んであげたらいいじゃない、一緒に買い物に行って」
茹でたての枝豆をぷちぷちっと弾いて口にほおる「あちあちっ」たまらず、足踏みした私。
「ほら、お水。……いいのよ、あのままで」
おじいちゃんが服を買うと、必ずおばあちゃんにお土産を買ってきてくれるんだって、嬉しそうに笑った。
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