KEN

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 俺の部屋に住み着いたモモコ。  モモコは、可愛くて変な女だった。  モモコは、常に包帯を持ち歩く癖があるようだった。大事そうに持っているボロボロの幼稚な鞄に、きつく巻かれたそれを盗み見て知ったことだった。  それともう1つ不思議な癖があった。  夕方に仕事に向かう俺の前でモモコはぐるぐると回転を始めるのだ。およそバレリーナにはほど遠いアンバランスな回転で、玄関の真ん中を占拠する。 「何してる? 止めろよ」  苛ついて怒鳴ったが、モモコは無視して廻り続ける。俺は呆れて廻るモモコを横目に、アパートの扉を閉めて部屋を出る。     肌は汗が水玉になって弾むくらい若々しい。きっとモモコは十代だと、俺は気付いていた。    俺が痛そうな顔をすると、直ぐに包帯をくるくるする変なモモコ。  俺が店に行く時間になると、部屋をぐるぐると廻る、不思議なモモコ。  何処からか家出した、頭のネジが1本外れた娘だろう。俺は、そんな風に思っていた。
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