おかえり

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天の橋立の美しい景色に魅了される丹後の田舎町より山手に住んでいた農家の人々。 美しい景色とは裏腹に生活は苦しかった。 農家と言えど、山間の村に豊富な土地があるわけでもなく。 小さな土地を広げるために開拓を余儀なくされていた村人たち。 それでも人々は自分達の暮らしが今よりも、もっと良くなる事を信じて土地を開拓していくのだった。 そんな時代では働かざる者は能無しと呼ばれ嫌われていた。 そんな時代を逞しく生きていた操と言う女性がいた。 操は農家の長女として生まれる。 跡継ぎの男の子に恵まれなかった村野家では、長女の操が婿養子をもらい後を継ぐことになった。 その相手として白羽の矢が立ったのが、隣町に住む田中修三であった。 修三は操の器量の良さに惹かれ、婿養子の話を受け入れ村野家に入った。 しかし、操は顔に似合わずに気性の激しい女だった。 農家という力仕事をしなければならない操は、自然と声も大きく言葉もきつくなっていた。
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