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そんな二人だが、3人の子宝には恵まれた。
長女沙織、次女康子、長男一美、操は長男の一美をたいそう可愛がっていた。
一美がいれば夫の修三はいらなかった。
だから、毎日の様に修三には悪態をつく。
修三をまるでこの家から追い出すようにだ。
子供達は、そんな両親を見ながらも、優しい父親にはなついていた。
村野家の中に修三の居場所はなかった。
だが、実家に帰る事も出来ず、離婚することも出来なかった。
今の時代には考えられない事だ。
当時は嫁に行ったならばそこで一生を終えるのが当たり前、ましてや出戻りは肩身の狭い思いをしていた。
田舎だからそれは余計にだった。
だから、両親も修三が離婚して帰ってくることを許さなかった。
そんな事があり修三は嫌でもこの村野家に居なければならなかったのだ。
だがそんな苦しい生活の中でも、自分の子供は可愛かった。
修三なりの愛情を注いでいた。
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