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子供達も操のいない所で修三に甘えていた。
そんな修三も、農家仲間がおり、いつも農家仲間に愚痴をこぼしていた。
「わしは村野家に婿養子に入ったが、けなされなじられてばかりじゃ、今ではイランとまで言われとるだ。何とも情けない話よのう。わしゃもう死にたいわ」
そんなある日、村野家にも赤紙が届いた。
村野家の皆の顔が青ざめていくそんな中、修三だけは喜びの顔になっていた。
やっとこの地獄から抜けられると思えたからだ。
爺様の義三は、
「働き手の修三をとられるのか。なんてひどい事だ」と言うが、もともと農家の仕事をしない修三は居ても居なくても同じだった。
婆さんは何にも言わなかった。
ただ黙って赤紙を見つめていた。
操は、悔しそうに唇をかみしめていた。
いくら道楽亭主でも、戦争に行くとなると話は違う、肌を重ね合わせた相手であり3人の子供の父親だ。
複雑な気持ちだった。
戦争に行けば命はないと言うのに修三は嬉しそうな顔をしていた。
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