茹だる暑さの中で

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するとその夜の事だった。俺は酒を飲んでいたらいつの間にか寝ていたようだ、突然、けたたましい携帯の着信音に起こされた。かけてきたのは中島だった。 「元気っすか?」  時計を見るとすでに午前一時を過ぎていた。 「いやあ、さっきまで飲んでたもんだから」と言う。  はあ? こいつは年相応に思慮深くなるといった思考回路から見放されているようだ。俺はまだ酒の抜けきらない朦朧とした意識の中でまるで呆け老人のように応対していた。 「今度、実家に帰るんで電話します。又、一緒に飲みましょう」 「はい、分かりました」俺はまるで尋問を受ける犯罪者のように返事をし、再度、眠りに落ちていった。  明くる朝、俺はその夜の電話の事を朧げながら覚えていた。そういえば昔、奴は朝方の四時にラブホテルまで車で迎えに来いと電話をしてきた事があった。前の日に合コンで持ち帰った女とホテルに行ったらしいのだが、帰る手段がなかった為だ。その時も朦朧としていた俺はなんと車を出し、奴を迎えに行ったのだった。あの時は猛烈に後悔したのだが。
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