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「ところで先輩、今何してるんですか?」
「自営業」
「まあ、先輩はサラリーマンしてても一人だけ自由業者みたいでしたしね」
それは褒めてるんだろうか? 貶してるんだろうか? まあいいや。
「しかし、中島も聡美ちゃんと結婚すれば良かったのにな、可愛いし、頭いいし、何てったって勘が良かった」と俺は珍しく人を褒めた、何年ぶりだろう人を褒めるのは。
「仕方ないですよ、元々の原因は先輩ですよ、先輩が誘うから遠距離交際になったんだから」
そういえば、俺が県外の会社にヘッドハンティングされ、上手く行き始めたので中島を呼んだのだった。それで中島は、当時付き合っていた聡美ちゃんと遠距離となったのを思い出した。
「忘れたな、そんな昔の事」
「本当! 都合がいいんだから」
「それより聡美ちゃんとは全然会わないのか? もったいないな」
「はあ? 結婚してよそに住んでて昔の女と会ってちゃおかしいでしょ」
「いつからそんな世間の常識に縛られるようになったんだ、俺は悲しいぞ」
「先輩こそ、そろそろ縛られた方が社会の為じゃないですか?」
「それより聡美ちゃん呼べないか? 久しぶりだろ、どうせこの街にいるはずだ」
「え?っ、マジですか?」
「マジに決まっとろうが」
と言うと本当に中島は携帯を検索し始めた。おいおい、まだ番号残していたのか?
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