茹だる暑さの中で

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 やがて電話をかけ始めた中島。あれ? 本当に出たようだ。 「あ?、久しぶり、ちょっと懐かしい人に代わるね」  とすぐに電話を代わろうとする中島。俺は中島に携帯を差し出され、恐る恐る代わった。 「聡美ちゃん? 元気してる? 大原です」 「えっ? 大原さん、ご無沙汰してます、元気ですか?」 「ああ、元気だよ、聡美ちゃんはどうしてるの?」 「あれから職場変わって、ずっとその測量事務所で働いてますよ、もうお子さんも大きくなられたんじゃないですか?」  ゲッ! 痛いところを突かれたものだ。 「残念ながら離婚して今は一人なんだ、君は?」 「私もまだ一人ですよ、半ば諦めてます」 「もったいない話だな、君のような美しくて魅惑的な人を見つけられないなんて、節穴だな」 「又々! 相変わらずですね」 「ところで出てこない? 中島も久々に出て来ててね、昔話してたところ」 「あの頃は楽しかったですもんね」 「そうだろ、もう一五年位なるかな、時間が色々呑み込んで、今じゃあ楽しい笑い話だけだ」 「そうですね……」 「いいじゃない、明日は休日だ、二度と会えないかもしれないぞ」 「そうですね」  俺はいい加減に話していたんだが、聡美が本当に出てくる気になるとは思っていなかったので半ばビックリした。
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