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入試の日に会場前でバッタリ出会った直後、光瀬は人なつっこい笑顔で僕に言ったのだ。
「実家から遠いし、受かったら住む部屋探すんだろ? 俺さあ、ちょうど2間のいいアパート見つけたんだ。でもちょっとばかし高いんで、ルームシェアして一緒に住まない?」
いい提案だと思ったが、その日はもうそれどころでは無かった。二浪なんて出来ない自分は崖っぷちだったのだ。確か曖昧に笑ってその場をやり過ごしたと記憶している。
驚いたことに合格発表の日、自室のPCの前でその幸せを噛みしめた直後、光瀬から携帯に着信が入った。
そう言えばあの日、番号を交換したんだったっけ、とボンヤリ思い出しながら電話に出ると、いきなり「どうだった?」とテンション高めで訊いてきた。合格を知らせると、まるで親戚のおじさんのように喜んでくれた。
親よりも誰よりも先に祝福してくれたのが光瀬だった。そして、弾んだ声で彼は言った。
「比奈木、一緒に暮らそう!」
まるでプロポーズのような言葉をもらい、そして現在に至る。
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