第2章

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 だが澁澤は、トボけた顔で溜息と共に煙を吐き出すと、指先でつまんでいたタバコのフィルターを放り投げた。  そして、 「まあ、そう細かいこと言うなって。どうせ、あの『ナントカ』とかいうロボットが、自動で掃除するんだろ? さっき、その辺に置いてあるの、見かけたぜ」と、ほざきやがる。 「『ナントカ』じゃなくて、『ルンバ』だから、オッサン」  いや、待て、問題はそこじゃないのか……。 「ああ、『ルンバ』ね、そいつはどうも。しかし、随分と間の抜けた名前だな、よりにもよって『ルンバ』って……せっかくなら、もうちょっとカッコイイ名前つけてやりゃいいのに」  とかなんとか言いながら、澁澤が、性懲りもなく新しいタバコを取り出して、ひょいと咥えたから、僕は枕で殴って、それをはたき落としてやった。  そして、「別に、僕がつけたわけじゃないから」と言い足し、枕に顔をうずめて目を閉じた。  (了)
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